2012年12月14日
第8弾【循環は簡単に崩れてしまう】~日本の仕事、日本の山~
【循環は簡単に崩れてしまう】 ~日本の仕事、日本の山~
日本家屋が減ってきていることで
日本の職種にも異変が起こっています。

日本家屋にまつわるいろいろな職人さんが
どんどん日本から消えていっているのです。
僕が愛用している墨壷を作る職人さんも、
日本に数人だけになっているそうです。

前回、厳しさの必要性について書きましたが、
『厳しい世界』の中でこそ、技術は伝承されていくのだろうと
僕は思います。
例えば、この連載の初回で、鉋削りについて
「ハエが滑って転ぶぐらいにツルツルに削れ!」と
言われた話を少ししました。
本当にそれほどの微細なところへの拘りで
後々、命取りになることもあるからです。
少しのズレから歪みが生まれ、それが家屋の強度に関係します。
この鉋削りの技を伝承しようということで
始まったイベントがあります。
「削ろう会」です。
鉋(カンナ)で削る技術を競い合い
技術ととのに、鉋を継承していきたい
という想いもこめられています。
今では一万人の会員がいるとも言われています。
動画などでアップされているので、
興味のある方は、ぜひ見てみてくださいね。
ミクロの世界の競い合いは見ものですよ!
カンナ、ノミ、ノコギリを使わなくなる
ということは、それを使う職人さんだけじゃなく
道具を作る職人や、刃物を作る鍛冶屋もいなくなっていく
……ということです。
鍛冶屋がいなくなると、
研石を作っている石屋もいなくなります。
そもそも、包丁も鍛冶屋が作ったものではなく
外国製のステンレス製などが増えていますよね。
最近は、店に研石を置いているのを見たこともありません。
研ぎ方を知らない人も多いようですし
人工的な使いやすい研石が売っているようです。
このように、ひとつの文化が崩れることによって
循環していたはずのいくつもの仕事のループが
あっという間に壊れます。
『循環』は、一度崩れだすと加速的に壊れるのに
元に戻すのには、とても時間がかかります。
日本の山林に、植林した杉と檜が放置されている現状も
日本家屋が減ったことによって循環が崩れた結果です。
花粉症の原因になるのは、杉と檜ですよね。
たくさんあるのに使われていないので、多過ぎるんですね。
家大工による建築方法では、時間はかかりますが、
建った後も長持ちします。
長持ちして、世代を超えて受け継がれている間に、
また山林の木が育ちます。
その育った木で、また家を造るのです。
そうやって、外国から輸入する必要もなく、
日本の風土に合う、日本の材木が使われ、
うまく循環していたわけです。
日本の山林と、日本家屋、
見事な連係プレーだったのですよね。
建て替えの周期が短くなり、海外から材木を得ないと
間に合わなくなってしまったんです。
「厳しいのがいや」
「もっと楽がしたい」
「自分が得したい」
共存の循環のループから誰かひとり抜けてしまうと、
後はもう、一気に崩れてしまうんですね。
そうやって失われてしまったもののなかに
大切なものがあったんじゃないかと
僕は思うんですがね。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら
http://www.nagara-katou.jp/
大工のつれづれ長楽日記日々更新します
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
日本家屋が減ってきていることで
日本の職種にも異変が起こっています。
日本家屋にまつわるいろいろな職人さんが
どんどん日本から消えていっているのです。
僕が愛用している墨壷を作る職人さんも、
日本に数人だけになっているそうです。
前回、厳しさの必要性について書きましたが、
『厳しい世界』の中でこそ、技術は伝承されていくのだろうと
僕は思います。
例えば、この連載の初回で、鉋削りについて
「ハエが滑って転ぶぐらいにツルツルに削れ!」と
言われた話を少ししました。
本当にそれほどの微細なところへの拘りで
後々、命取りになることもあるからです。
少しのズレから歪みが生まれ、それが家屋の強度に関係します。
この鉋削りの技を伝承しようということで
始まったイベントがあります。
「削ろう会」です。
鉋(カンナ)で削る技術を競い合い
技術ととのに、鉋を継承していきたい
という想いもこめられています。
今では一万人の会員がいるとも言われています。
動画などでアップされているので、
興味のある方は、ぜひ見てみてくださいね。
ミクロの世界の競い合いは見ものですよ!
カンナ、ノミ、ノコギリを使わなくなる
ということは、それを使う職人さんだけじゃなく
道具を作る職人や、刃物を作る鍛冶屋もいなくなっていく
……ということです。
鍛冶屋がいなくなると、
研石を作っている石屋もいなくなります。
そもそも、包丁も鍛冶屋が作ったものではなく
外国製のステンレス製などが増えていますよね。
最近は、店に研石を置いているのを見たこともありません。
研ぎ方を知らない人も多いようですし
人工的な使いやすい研石が売っているようです。
このように、ひとつの文化が崩れることによって
循環していたはずのいくつもの仕事のループが
あっという間に壊れます。
『循環』は、一度崩れだすと加速的に壊れるのに
元に戻すのには、とても時間がかかります。
日本の山林に、植林した杉と檜が放置されている現状も
日本家屋が減ったことによって循環が崩れた結果です。
花粉症の原因になるのは、杉と檜ですよね。
たくさんあるのに使われていないので、多過ぎるんですね。
家大工による建築方法では、時間はかかりますが、
建った後も長持ちします。
長持ちして、世代を超えて受け継がれている間に、
また山林の木が育ちます。
その育った木で、また家を造るのです。
そうやって、外国から輸入する必要もなく、
日本の風土に合う、日本の材木が使われ、
うまく循環していたわけです。
日本の山林と、日本家屋、
見事な連係プレーだったのですよね。
建て替えの周期が短くなり、海外から材木を得ないと
間に合わなくなってしまったんです。
「厳しいのがいや」
「もっと楽がしたい」
「自分が得したい」
共存の循環のループから誰かひとり抜けてしまうと、
後はもう、一気に崩れてしまうんですね。
そうやって失われてしまったもののなかに
大切なものがあったんじゃないかと
僕は思うんですがね。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら

http://www.nagara-katou.jp/
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