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2013年12月13日

第19弾 匠がもの申す!!

見に来て下さりありがとうございます。


こんばんは。


作業場で仕事をしていると、足先からキンキンに、

冷えて来て、冬が来た事を再認識した棟梁です。


さて、匠がもの申すも第19弾です。

木材を乾燥すると、いろんな事が起きて来ます。

乾燥させることの重要さ、木を見る目をここで養った棟梁です。

棟梁の思いなので、さまざまなご意見はあると思いますがご了承ください。




*木を寝かせるということ
 ~100坪のスペースに15年生までがずらり~


材木を「寝かせる」という言い方をします。
乾燥させるために置いておくことを意味します。


寝かせるのは、含水率をしっかり下げるため。







切ったばかりの木は、生きているわけですから
根っこから水を吸い上げているため水分を含んでいます。
根かせて乾いていくに従って、その子(木)の癖が出てくるのです。


材木屋さんで、材木を何年も寝かせている
ということは、なかなかありません。大工も同じです。

なぜなら、材木を寝かせておくには
それなりのスペースが必要だからです。


それでも、僕は安心して建てたいので
約100坪のスペースに、たくさんの材木をいつも寝かせています。
なかには15年の子もいます。


5年ほど寝かせると、通し柱として使えない子(木)も出てきます。
製材にかけると、一度はまっすぐになるのですが
含水率が落ちていくと、再び、ねじれてくるのです。

最初は6寸(約18cm)だったものが、
曲がってきたものを再度、製材にかけると5寸(約15cm)になるなど
どんどん細くなっていってしまうので、
そうなると、通し柱には使えません。
別の場所に使うことになります。

ねじれている子(木)は、支え合う所に持っていくしかなくなり
周りのみんながそれを、支えなければならないのです。
ねじれそうになるのを、我慢してもらうしかないんですね。


最初は、どの子もみんな普通に四角い材木なんです。
でも、寝かせておくと、すぐにねじれていくのがわかります。


一番ねじれがひどかった子(木)は、
7寸角(約21cm)の1寸(3cm)ほども、ねじれました。

製材をかけてみたぐらいでは、わからなかったのですが
ちょっと穴が空いていたので、半分に切ってみたら
もの凄く固いんですよ。固くて、固くて。

そして、中に腐りが入っていました。

どうやら、まだ若いうちに雷か何かが落ちたのでしょう。
太い枝が折れてしまったようだということがわかりました。

ねじれている子(木)は短い管柱ぐらいにしか使えないのですが、
その子は、管柱に使うのすら難しそうでした。


いじめられた子(木)は、ねじくれていっちゃうんですね。
うまくつかってあげたいけど、難しい。
しかも、そういう子(木)に限って、顔はいい。


イケメンなんですねぇ!(笑)

そんなわけで、見た目が白くてきれいな柱が
家の奥の隅っこのほうの短い柱に収まっているということも
実は、あるんですねぇ(笑)。


そうやって、どの子もゆっくり寝かせることで
適材適所に、どう収めてあげればいいのか
気長に見てあげています。

その子(木)たちのことを何年も見て把握します。

だからこそ、かなり曲がっている長い柱でも、
自信を持って組むことができるんですね。


「家を一件建てるには、山ごと買え」とは
法隆寺の鬼と呼ばれた、宮大工棟梁の西岡常一氏の言葉



実際に、山ごと買えたなら、
南で育った子は、南で、
北で育った子は、北で使うなど
育った通りの配置にしてやることで、
それぞれの特長を活かせると言われています。

そんなことができれば……
そして、それを寝かせてから使えたら
さらに丈夫で安心できる家を建てられるでしょうね。
  


Posted by 大工のとと at 22:51Comments(0)匠が物申す