2013年04月25日
【棟梁の技量】 ~1つだけ失敗するという器~
【棟梁の技量】 ~1つだけ失敗するという器~
「建前」のときに
失敗が見つかることがあります。
それについて、僕らは
「間違いじゃないでね」と説明します。
というのも、
「完璧な家を建ててしまうと
その家主の家系は、それ以上繁盛しない」
と古くから言われているからなんですね。
間違いではなく、
施主さんを想ってのことだと説明するのです。
実際に、昔は、子どもや孫、ひ孫の代まで
ひとつの家に住んだので、
建物がその家系に大きく影響すると考えられていたのでしょう。
人から聞いた話なので、曖昧ですが
日光東照宮での話として聞いたものです。
この「1つだけ間違えると繁盛する」という
言い伝えから、棟梁は日光東照宮の繁盛
……つまり、徳川家の繁盛を願って
柱を一本だけ逆さまにして建てたそうです。
ただし、間違えていることがわかると大問題ですので
わからないように、その柱には彫刻を施したそうです。
ところがお披露目のときに、名も無いおばあさんに
「なんで、この柱だけ上下を間違えたまま建てたのか」
と指摘されてしまいました。
それを聞いた棟梁は責任を負って切腹した
という言い伝えがあります。
職人が素人に間違いを指摘されたわけですから
戦国時代なら、確かに切腹もあり得るかもしれません。
棟梁は、それぐらいに間違いにはシビアであり
将軍の「繁盛」は、今では想像できないぐらいの
とても重要なものだったのでしょうね。
僕の建てる家で見つかる間違いは、
もちろん小さなものです。
『つか』といって屋根の重さを分散して伝えるための
45cmぐらいの小さな柱があるのですが、
その長さを1cm5mm間違うなどの小さな失敗です。
僕らも、三度は確認するんですが
何千もの部材を使うわけですから
どうしても見落としが出てしまい、
それが建前の段階で見つかるわけです。
とはいえ、実際には、mm単位の間違いも
うやむやにすることはありません。
だからこそ、棟梁が建てた家は、何十年経っても
手入れさえしていれば、歪みや隙間が出てこないのです。

棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら
http://www.nagara-katou.jp/
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
「建前」のときに
失敗が見つかることがあります。
それについて、僕らは
「間違いじゃないでね」と説明します。
というのも、
「完璧な家を建ててしまうと
その家主の家系は、それ以上繁盛しない」
と古くから言われているからなんですね。
間違いではなく、
施主さんを想ってのことだと説明するのです。
実際に、昔は、子どもや孫、ひ孫の代まで
ひとつの家に住んだので、
建物がその家系に大きく影響すると考えられていたのでしょう。
人から聞いた話なので、曖昧ですが
日光東照宮での話として聞いたものです。
この「1つだけ間違えると繁盛する」という
言い伝えから、棟梁は日光東照宮の繁盛
……つまり、徳川家の繁盛を願って
柱を一本だけ逆さまにして建てたそうです。
ただし、間違えていることがわかると大問題ですので
わからないように、その柱には彫刻を施したそうです。
ところがお披露目のときに、名も無いおばあさんに
「なんで、この柱だけ上下を間違えたまま建てたのか」
と指摘されてしまいました。
それを聞いた棟梁は責任を負って切腹した
という言い伝えがあります。
職人が素人に間違いを指摘されたわけですから
戦国時代なら、確かに切腹もあり得るかもしれません。
棟梁は、それぐらいに間違いにはシビアであり
将軍の「繁盛」は、今では想像できないぐらいの
とても重要なものだったのでしょうね。
僕の建てる家で見つかる間違いは、
もちろん小さなものです。
『つか』といって屋根の重さを分散して伝えるための
45cmぐらいの小さな柱があるのですが、
その長さを1cm5mm間違うなどの小さな失敗です。
僕らも、三度は確認するんですが
何千もの部材を使うわけですから
どうしても見落としが出てしまい、
それが建前の段階で見つかるわけです。
とはいえ、実際には、mm単位の間違いも
うやむやにすることはありません。
だからこそ、棟梁が建てた家は、何十年経っても
手入れさえしていれば、歪みや隙間が出てこないのです。
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Posted by 大工のとと at 21:38│Comments(0)
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