2013年09月16日
匠が物申す 第16弾 屋根土と壁土 ~土は育つ、土は蘇る~
見に来て下さりありがとうございます。
こんばんは。
皆さん、18号台風の被害は無かったでしょうか?
棟梁のお客さん4件の方から被害のお電話があり、
1軒を明日にさせて頂き、
対応させて頂きました。
被害に会われた方々お見舞い申し上げます。
そんな中、棟梁は、現場に出向いたんですが、
すっかり、写真を撮り忘れて大失態です(笑)
と言う事で、匠が物申す第16弾をアップする事にしました。
あくまでも、棟梁の意見でありますので、
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
■屋根土と壁土 ~土は育つ、土は蘇る~
屋根の瓦は、現在の工法では、
野地板の上に、防水材を張り、その上に、
桟(さん)を打ち、その桟に瓦を留めて葺(ふ)いていくようです。
僕の場合は、防水材も張りますが、その上に
檜皮(ひがわ=ヒノキの皮)を敷いていきます。

その檜皮の上に桟を打ってから屋根土を乗せてから
瓦を葺いていくのです。
阪神淡路大震災の後から、
「屋根土を乗せると倒れやすい」と、よく言われました。
でも、僕のような従来工法で建てた家なら、
屋根の重さが原因で倒れるということはまずありません。
柱の重みも、屋根土の重さも、
むしろ、倒壊を防ぐためには必要なんです。
それに、屋根土は断熱効果もあります。
メンテナンスさえきちんとしていれば
孫末代まで長持ちする、丈夫な家。
それが、従来工法の建て方です。
さて、この屋根土や、土壁の土を作っているのが、
通称、ドロコン屋さんです。

赤土+砂(砕石)+粘土+藁すさ+水
で、できています。
水や藁すさの配合や、寝かせる期間によって
屋根土になったり、壁土になったりします。

赤土は、その土地のものを使います。
赤土のままだと干割れ(ひわれ)しやすいのですが、
この状態を「土が『若い』」なんて言います。
崩れやすいのです。
そこに、水や藁すさを足しながら、
何ヶ月も寝かせて、土を育てていくのですが、
一週間もしないうちに、発酵して藁が柔らかくなるんです。
壁土は、屋根土より水分も藁も多めで柔らかく
屋根土のほうが、固いんですね。
もし屋根土が柔らか過ぎると、瓦が沈んでしまいます。
固い土にぐっと抑えながら、密着させていくのです。
屋根土は、長く置き過ぎてはいけません。
逆に、壁土は長く置かなければ、
粘りが出ないので期間を要します。
「お城の支度は材木よりも先に土を用意しろ」
と言われていたほどです。
壁土は、藁が発酵していくので、かなり匂いもあります。
でも、それは塗り終わって乾いてくると
驚くほど消えてしまうんですね。

育てている土をひっくり返すと、中は真っ黒です。
微生物が、藁をくいながら発酵していくんです。
ひっくり返して新しい空気を入れたり
干ばつが続くと水を与えたり
水や空気を与えながら、時間をかけて育てていくんですね。
水を加えている限り、土は発酵し続けますが、
乾き出すと微生物も活動できずに固まっていきます。
そうして、使われた土たちは、リサイクルできるって
ご存じでしたか?
何百年も経ってから、解体して出てきた土も
漆喰さえ取ってしまえば、
水を与えてやると復活できる。
再利用できるので、永久に使えるんですね。
昔の人はぐるぐる循環するように、考えていたんです。
古くなった城や古民家を解体しても、
柱も土も使えるんですね。
僕は、いつかボルトも一切使わない、
循環できる素材だけで家を造りたいと思っています。
実際に、それをやっておられる大工さんが日本にいます。
僕も、それを目指しています。
日本の家と山林の関係も「循環」です。
興味のある方は『日本の仕事、日本の山』も
合わせてご覧くださいね。
※藁すさ:古い藁やむしろを2cmほどに切ったものを、叩いて水につけて柔らかくしたもの。
関東方面では、すさではなく「つた」といわれる。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら
http://www.nagara-katou.jp/
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
こんばんは。
皆さん、18号台風の被害は無かったでしょうか?
棟梁のお客さん4件の方から被害のお電話があり、
1軒を明日にさせて頂き、
対応させて頂きました。
被害に会われた方々お見舞い申し上げます。
そんな中、棟梁は、現場に出向いたんですが、
すっかり、写真を撮り忘れて大失態です(笑)
と言う事で、匠が物申す第16弾をアップする事にしました。
あくまでも、棟梁の意見でありますので、
ご理解のほどよろしくお願いいたします。
■屋根土と壁土 ~土は育つ、土は蘇る~
屋根の瓦は、現在の工法では、
野地板の上に、防水材を張り、その上に、
桟(さん)を打ち、その桟に瓦を留めて葺(ふ)いていくようです。
僕の場合は、防水材も張りますが、その上に
檜皮(ひがわ=ヒノキの皮)を敷いていきます。
その檜皮の上に桟を打ってから屋根土を乗せてから
瓦を葺いていくのです。
阪神淡路大震災の後から、
「屋根土を乗せると倒れやすい」と、よく言われました。
でも、僕のような従来工法で建てた家なら、
屋根の重さが原因で倒れるということはまずありません。
柱の重みも、屋根土の重さも、
むしろ、倒壊を防ぐためには必要なんです。
それに、屋根土は断熱効果もあります。
メンテナンスさえきちんとしていれば
孫末代まで長持ちする、丈夫な家。
それが、従来工法の建て方です。
さて、この屋根土や、土壁の土を作っているのが、
通称、ドロコン屋さんです。
赤土+砂(砕石)+粘土+藁すさ+水
で、できています。
水や藁すさの配合や、寝かせる期間によって
屋根土になったり、壁土になったりします。
赤土は、その土地のものを使います。
赤土のままだと干割れ(ひわれ)しやすいのですが、
この状態を「土が『若い』」なんて言います。
崩れやすいのです。
そこに、水や藁すさを足しながら、
何ヶ月も寝かせて、土を育てていくのですが、
一週間もしないうちに、発酵して藁が柔らかくなるんです。
壁土は、屋根土より水分も藁も多めで柔らかく
屋根土のほうが、固いんですね。
もし屋根土が柔らか過ぎると、瓦が沈んでしまいます。
固い土にぐっと抑えながら、密着させていくのです。
屋根土は、長く置き過ぎてはいけません。
逆に、壁土は長く置かなければ、
粘りが出ないので期間を要します。
「お城の支度は材木よりも先に土を用意しろ」
と言われていたほどです。
壁土は、藁が発酵していくので、かなり匂いもあります。
でも、それは塗り終わって乾いてくると
驚くほど消えてしまうんですね。
育てている土をひっくり返すと、中は真っ黒です。
微生物が、藁をくいながら発酵していくんです。
ひっくり返して新しい空気を入れたり
干ばつが続くと水を与えたり
水や空気を与えながら、時間をかけて育てていくんですね。
水を加えている限り、土は発酵し続けますが、
乾き出すと微生物も活動できずに固まっていきます。
そうして、使われた土たちは、リサイクルできるって
ご存じでしたか?
何百年も経ってから、解体して出てきた土も
漆喰さえ取ってしまえば、
水を与えてやると復活できる。
再利用できるので、永久に使えるんですね。
昔の人はぐるぐる循環するように、考えていたんです。
古くなった城や古民家を解体しても、
柱も土も使えるんですね。
僕は、いつかボルトも一切使わない、
循環できる素材だけで家を造りたいと思っています。
実際に、それをやっておられる大工さんが日本にいます。
僕も、それを目指しています。
日本の家と山林の関係も「循環」です。
興味のある方は『日本の仕事、日本の山』も
合わせてご覧くださいね。
※藁すさ:古い藁やむしろを2cmほどに切ったものを、叩いて水につけて柔らかくしたもの。
関東方面では、すさではなく「つた」といわれる。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら

http://www.nagara-katou.jp/
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
Posted by 大工のとと at 20:48│Comments(0)
│匠が物申す