2012年06月22日
匠が物申す第3弾♪豊橋の大工さん
■3mmの誤差で噛み合なくなる! 材木に墨をつける墨壷の話
これは何をする道具でしょう?

材木に印をつけるための、道具で「墨壷(すみつぼ)」と言います。
大工にとって欠かせない道具のひとつです。
手刻みといって材木を組むときに、基準となる場所に印をつけるためのものです。
手刻みの作業については、また詳しく書きたいと思いますが、
今日は、この墨壷のことをお話ししましょう。
紙に線を引く場合は、普通は定規を使いますよね。
材木に線を引くのに、この墨壷を使うのです。
主にセンターラインに墨を付けます。水平の目安にもしています。
墨のついた糸をパチンとはじくことで、
一発で線を付けることができます。
この作業を、「墨を打つ」とか、「墨を付ける」と言うのです。
材木それぞれに形状がありますので、
曲がっているなら曲がっているなりに、
その形状に合わせて打てるように細工するわけです。
テクニックがあれば、曲線をつけることもできます。
4mにつき、1cmぐらいのゆるいカーブをつけることができます。
墨を打てるようになるまで、3~4年ぐらいかかります。
親方から手取り足取り教えてもらうのではなく、
兄弟子や親方の姿を見て、横からその技を盗むんですね(笑)。
最初のうちは、もちろん現場でいきなりはできませんので、
親方のいないところで、練習を重ねます。
僕も、こっそり親方のいないところで練習しましたね。
親方も、実はこっそりそういう様子を見ていて
「墨が打ちたいなら、木の隅壺買ってこい」と言われます。
今は、プラスチック製の墨壷もありますが、
墨壷は、その土地にある材木で作られてきたようです。
僕の使っているものは、欅(けやき)という木でできていて
4~5万円する欅の墨壷です。(少し縁起物の彫刻がしてあります)
僕は道具屋さんで買っていますが、
気に入っている墨壷があるので、ストックを置いています。
坪辰さんという職人さんのもので彫りが入っています。
糸はナイロン製のもので、0.38mmのものを使っています。
0.5mmでも太すぎます。
その糸で、1mmもずれないように墨を打つのです。
社寺建築でも、これができないと建てることができません。
材木を見ながら、
「この子は曲がっているから、こっちに。
この子はこっちに持ってってあげよう」と
番付けしていって、墨付けをしていきます。
昔に比べると材木の曲がりは少ないほうなんですが
曲がっている子も、まっすぐな子も、いろいろ使いますので
そのすべてを、どこに入れてやればいいのか
どの向きに入れてやればいいのか
算段しながら組んでいきます。
それは、僕らの経験と知識によるものなんですね。
墨壷職人さんが減ってきてしまっていて
今は、確か全国に数名しかいらっしゃいません。
僕ら大工が減り、手刻みが減り、プラスチック製品が増え
道具職人さんが、減っていかれる。
日本の財産だと思うんですけどね。
とても残念なことです。
※墨付けの様子、動画でも見られます。
http://kinoie.dosugoi.net/e337724.html
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら
http://www.nagara-katou.biz
大工のつれづれ長楽日記日々更新します
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
これは何をする道具でしょう?
材木に印をつけるための、道具で「墨壷(すみつぼ)」と言います。
大工にとって欠かせない道具のひとつです。
手刻みといって材木を組むときに、基準となる場所に印をつけるためのものです。
手刻みの作業については、また詳しく書きたいと思いますが、
今日は、この墨壷のことをお話ししましょう。
紙に線を引く場合は、普通は定規を使いますよね。
材木に線を引くのに、この墨壷を使うのです。
主にセンターラインに墨を付けます。水平の目安にもしています。
墨のついた糸をパチンとはじくことで、
一発で線を付けることができます。
この作業を、「墨を打つ」とか、「墨を付ける」と言うのです。
材木それぞれに形状がありますので、
曲がっているなら曲がっているなりに、
その形状に合わせて打てるように細工するわけです。
テクニックがあれば、曲線をつけることもできます。
4mにつき、1cmぐらいのゆるいカーブをつけることができます。
墨を打てるようになるまで、3~4年ぐらいかかります。
親方から手取り足取り教えてもらうのではなく、
兄弟子や親方の姿を見て、横からその技を盗むんですね(笑)。
最初のうちは、もちろん現場でいきなりはできませんので、
親方のいないところで、練習を重ねます。
僕も、こっそり親方のいないところで練習しましたね。
親方も、実はこっそりそういう様子を見ていて
「墨が打ちたいなら、木の隅壺買ってこい」と言われます。
今は、プラスチック製の墨壷もありますが、
墨壷は、その土地にある材木で作られてきたようです。
僕の使っているものは、欅(けやき)という木でできていて
4~5万円する欅の墨壷です。(少し縁起物の彫刻がしてあります)
僕は道具屋さんで買っていますが、
気に入っている墨壷があるので、ストックを置いています。
坪辰さんという職人さんのもので彫りが入っています。
糸はナイロン製のもので、0.38mmのものを使っています。
0.5mmでも太すぎます。
その糸で、1mmもずれないように墨を打つのです。
社寺建築でも、これができないと建てることができません。
材木を見ながら、
「この子は曲がっているから、こっちに。
この子はこっちに持ってってあげよう」と
番付けしていって、墨付けをしていきます。
昔に比べると材木の曲がりは少ないほうなんですが
曲がっている子も、まっすぐな子も、いろいろ使いますので
そのすべてを、どこに入れてやればいいのか
どの向きに入れてやればいいのか
算段しながら組んでいきます。
それは、僕らの経験と知識によるものなんですね。
墨壷職人さんが減ってきてしまっていて
今は、確か全国に数名しかいらっしゃいません。
僕ら大工が減り、手刻みが減り、プラスチック製品が増え
道具職人さんが、減っていかれる。
日本の財産だと思うんですけどね。
とても残念なことです。
※墨付けの様子、動画でも見られます。
http://kinoie.dosugoi.net/e337724.html
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら

http://www.nagara-katou.biz
大工のつれづれ長楽日記日々更新します
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Posted by 大工のとと at 21:19│Comments(2)
│匠が物申す
この記事へのコメント
先代から引き継がれる技術、芸術が減りつつある昨今・・・
さびしい事ですね
さびしい事ですね
Posted by ◇ えんそう ◇
at 2012年06月23日 09:01

◇ えんそう ◇様
使う職人さんが減り、作る職人さんがいなくなる、
自然の法則かも解りませんが、非常に残念なことです。
使う職人さんが減り、作る職人さんがいなくなる、
自然の法則かも解りませんが、非常に残念なことです。
Posted by 大工のとと
at 2012年06月23日 11:04
