2014年07月13日
匠が物申す第24弾
見に来て下さりありがとうございます。
こんばんは。
午前中は、外仕事が出来ましたが、雨が降ってきて、
仕事をするのを断念した棟梁です。
さて「匠が物申す」も、
第24回目を掲載する事が出来ました。
時代の流れで、知らなくてはいけない事がだんだんと、
忘れ去られて行く、そんな風になって来た事がとても残念です。
色々なご意見はあると思いますが、棟梁の思いなのでご了承ください。
【畳のお話】
今回は、畳の話をします。
畳の専門家ではないのですが
「どうして畳を虫干しするの?」と質問をいただいたので。

■い草と藁は湿度を調整してくれる
国民的人気アニメの『サザエさん』なんかでも
庭に、畳を立てかけて干してあるシーンを
見たことがある方もいらっしゃると思います。
虫干しするのは、畳の
ダニ、カビ、埃などの対策のためなんです。
天気のいい日に、3~4時間干して、最後に、叩きます。
畳にはいくつか種類があります。
「本床(ほんどこ)」と呼ばれる畳は
約6cmほどの厚みがあり、中には藁(わら)が使われています。
い草と藁が、湿度を調整してくれるので
断然、本床がお勧めなんですが、手入れが必要です。
最近は、どんどん薄くて軽い安い畳が増えてきています。
段ボールの圧縮材でウレタンマットを挟んだものに
い草を敷いてあるだけのものや
い草の代わりにビニールを使用しているものもあります。
気軽に使えますが、安いものは、人が歩く程度の摩擦でも
すり減ってくるという、難点もあるようです。
聞くところに寄ると、い草の染め方も違うようです。
青いほうが高級感があるように見えるため
あえて青く染めるという話も聞きます。
本床が避けられるようになったのは、
畳はダニやカビの温床という
悪い印象が持たれるようになったためです。
ダニやカビが生えるのは、建築方法が変わってきたこと、
年に2回ほどの虫干しをしなくなったこと、
現代は掃除をする回数も減ってきたことなどが原因です。
昔は、畳の掃除といえば、お茶がらを撒いておいて
埃を吸わせてから拭き掃除をしたりもしていました。
そういうやり方も知らない人が増えていますし
掃除機をかける回数も減ってきているようです。
だから、ダニが発生しやすいんですね。
畳屋さんとしても、ちゃんと手入れしてもらえないなら
安いものを勧めておいて、数年後、一式すべて変えればいい
と、考えているのかもしれません。
■日本から、い草や藁が消えていっている
今、い草の生産については、
80%以上、中国に頼っていると言われています。
自然のなかで育った、太さの違うい草を揃えるのが大変で
一畳10万円という最高級の畳もあるようです。
本床の畳は、手織りなので時間もかかります。
一枚作るのに、二日ぐらいかかると聞いたこともあります。
また、昔は、藁が日本中に普通にありました。
お米を収穫するときに、昔は稲を手で刈り取って
「はざ掛け」などと呼ばれ、天日干しにするのが習わしでした。
でも、今は、コンバインなどの大型機械で刈ってしまいます。
はざ掛けをすると、干している間に
藁に溜まっている栄養素が、米粒にまで行き渡り
甘み・うま味・粘りが増す、と言われています。
でも、はざ掛けには、人手がいりますし、
天候に左右されてしまうので、最近は見かけなくなったんですね。
そうして、天日干しにした藁は
藁床、土壁、畑の畝にかける敷き藁、草鞋、しめ縄など
たくさんの使い道がありました。
生活のなかで「循環」させていたんですね。
藁の使い道である「土壁」を使った家も減り
洋室が増えたことで、畳も減るなど
どんどん藁を使う機会がなくなってきて
藁自体も、減っていったんですね。悪循環です。
昔の家は広さもあり、庭先に畳を干す場所もあった。
今は、その場所もなくなってきていますし
核家族化で、一緒に暮らす人数が減ってきたのも
虫干しをしなくなった原因かもしれませんね。
家屋のことも含め、とにかく、あらゆることに於いて
「手入れをして長持ちさせる」という感覚が
なくなってきているのを感じます。
こうして日本の文化が消えていくのは
とても残念なことだと思います。
土壁などといっしょに、最近は少し畳の良さが
見直されつつあると言われていますが
そうであればいいなと、僕は思っています。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら
http://www.nagara-katou.jp/
ながらの母ちゃんことかかのブログもご覧ください
こんばんは。
午前中は、外仕事が出来ましたが、雨が降ってきて、
仕事をするのを断念した棟梁です。
さて「匠が物申す」も、
第24回目を掲載する事が出来ました。
時代の流れで、知らなくてはいけない事がだんだんと、
忘れ去られて行く、そんな風になって来た事がとても残念です。
色々なご意見はあると思いますが、棟梁の思いなのでご了承ください。
【畳のお話】
今回は、畳の話をします。
畳の専門家ではないのですが
「どうして畳を虫干しするの?」と質問をいただいたので。

■い草と藁は湿度を調整してくれる
国民的人気アニメの『サザエさん』なんかでも
庭に、畳を立てかけて干してあるシーンを
見たことがある方もいらっしゃると思います。
虫干しするのは、畳の
ダニ、カビ、埃などの対策のためなんです。
天気のいい日に、3~4時間干して、最後に、叩きます。
畳にはいくつか種類があります。
「本床(ほんどこ)」と呼ばれる畳は
約6cmほどの厚みがあり、中には藁(わら)が使われています。
い草と藁が、湿度を調整してくれるので
断然、本床がお勧めなんですが、手入れが必要です。
最近は、どんどん薄くて軽い安い畳が増えてきています。
段ボールの圧縮材でウレタンマットを挟んだものに
い草を敷いてあるだけのものや
い草の代わりにビニールを使用しているものもあります。
気軽に使えますが、安いものは、人が歩く程度の摩擦でも
すり減ってくるという、難点もあるようです。
聞くところに寄ると、い草の染め方も違うようです。
青いほうが高級感があるように見えるため
あえて青く染めるという話も聞きます。
本床が避けられるようになったのは、
畳はダニやカビの温床という
悪い印象が持たれるようになったためです。
ダニやカビが生えるのは、建築方法が変わってきたこと、
年に2回ほどの虫干しをしなくなったこと、
現代は掃除をする回数も減ってきたことなどが原因です。
昔は、畳の掃除といえば、お茶がらを撒いておいて
埃を吸わせてから拭き掃除をしたりもしていました。
そういうやり方も知らない人が増えていますし
掃除機をかける回数も減ってきているようです。
だから、ダニが発生しやすいんですね。
畳屋さんとしても、ちゃんと手入れしてもらえないなら
安いものを勧めておいて、数年後、一式すべて変えればいい
と、考えているのかもしれません。
■日本から、い草や藁が消えていっている
今、い草の生産については、
80%以上、中国に頼っていると言われています。
自然のなかで育った、太さの違うい草を揃えるのが大変で
一畳10万円という最高級の畳もあるようです。
本床の畳は、手織りなので時間もかかります。
一枚作るのに、二日ぐらいかかると聞いたこともあります。
また、昔は、藁が日本中に普通にありました。
お米を収穫するときに、昔は稲を手で刈り取って
「はざ掛け」などと呼ばれ、天日干しにするのが習わしでした。
でも、今は、コンバインなどの大型機械で刈ってしまいます。
はざ掛けをすると、干している間に
藁に溜まっている栄養素が、米粒にまで行き渡り
甘み・うま味・粘りが増す、と言われています。
でも、はざ掛けには、人手がいりますし、
天候に左右されてしまうので、最近は見かけなくなったんですね。
そうして、天日干しにした藁は
藁床、土壁、畑の畝にかける敷き藁、草鞋、しめ縄など
たくさんの使い道がありました。
生活のなかで「循環」させていたんですね。
藁の使い道である「土壁」を使った家も減り
洋室が増えたことで、畳も減るなど
どんどん藁を使う機会がなくなってきて
藁自体も、減っていったんですね。悪循環です。
昔の家は広さもあり、庭先に畳を干す場所もあった。
今は、その場所もなくなってきていますし
核家族化で、一緒に暮らす人数が減ってきたのも
虫干しをしなくなった原因かもしれませんね。
家屋のことも含め、とにかく、あらゆることに於いて
「手入れをして長持ちさせる」という感覚が
なくなってきているのを感じます。
こうして日本の文化が消えていくのは
とても残念なことだと思います。
土壁などといっしょに、最近は少し畳の良さが
見直されつつあると言われていますが
そうであればいいなと、僕は思っています。
棟梁
長楽 加藤建築 ホームページはこちら

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